新潟の灰からつくられたうつわの魅力を感じた1日【うつわ巡りの旅 vol.1】

今回は、青人窯の大山育男さんを訪ねに新潟県へ。
大山さんは、地元で取れる柿の木や火山灰を原料にした釉薬を用い、質感にこだわったうつわづくりをされています。
工房を見せていただいた後は、一面の菜の花と湖に浮かぶ島々を楽しめる福島潟へ春のお散歩をしてきました。

新潟駅を出発

午前中に新潟駅に到着!
早速、目的地の青人窯へ向かいます。

青人窯がある沼垂テラス商店街は、ここからバスで向かうこともできます。
今回は町の雰囲気を楽しみたいので、20分ほど歩いていくことに。

改装中で新潟駅の外観は隠れていました。

次第に、昔ながらの町並みに変わっていきます。
このような雰囲気の変化を感じられるのも、町歩きの楽しみですね。

バスで向かう方はここで下ります。

ここまで来ればすぐそこ!もう少し。

着きました!
看板にさりげなく猫ちゃんがいてほっこり。

右に進むと、趣があるおしゃれなお店が建ち並んでいます。

沼ネコ焼でひといき

青人窯に行く前にちょっとひといき。

さまざまな猫ちゃんの表情がキュートな「沼ネコ焼」というおやつを、ひとつぼし雑貨店で見つけました。

新潟県産コシヒカリを使った米粉の皮に、あんこやクリームなどがつまっています。

このときは抹茶クリーム、チョコフレーク、笹団子味、いちごミルク、今代司酒造酒粕こしあんの5種類がありました。

中身によって顔の表情が違うので、選んでいるときから楽しい気分に。
どの子もかわいくて迷ってしまいましたが、一番手前の今代司酒造酒粕こしあんにしました。

新潟市にある酒造の酒粕に新潟県産コシヒカリ……と新潟づくし。
しっとりとしたこしあんに、酒粕がいいアクセントになっていておいしかったです。
生地もモチモチで、顔がほころびました。

同じ商店街内のRuruck Kitchenというお惣菜屋さんでつくられているので、そちらでも購入できます。

いざ、青人窯へ

おなかも満たして、いざ青人窯へ。

店内には、シンプルでそれぞれ質感の異なる素敵なうつわたちが並んでいます。

こちらが店主の大山育男さん。(以下、大山さん)

新潟の柿の木や火山灰を原料にした独自の釉薬を用いて、うつわづくりをされています。

手前に写っているカップは、柿の木を燃やしてできた灰をつかった釉薬が使用されています。

木は新潟市秋葉区にあるタカツカ農園で、自然農法によって育てられたものとのこと。
さらりとした味のある質感が魅力的です。

一番左に写っている黄緑色のうつわは、米どころとして知られる新潟県魚沼の火山灰を用いた釉薬を使ったもの。

火山灰は、大山さんがはるばる魚沼まで自ら納得のいくものを探しに行かれたとか。(なんと、車で片道2時間半!)

大山さんによると、魚沼の火山灰は海に積もり、石油がつくられる素にもなっているそう。

新潟は昔石油がよくとれる土地でもあったので、そういった面でも関わりの深い材料です。
やさしい色合いで見ているだけで癒やされます。

このような新潟の材料を使った独自の釉薬でつくられたうつわたちは、大山さんのこだわりから生まれました。

大山さんは自分で釉薬をつくる際に、材料とその調合の試行錯誤を続けています。

材料は他にもル・レクチェ(洋なしの一種)や桃といったものも試し、釉薬をつくるうえで適切な灰のやわらかさになるものを探してきているそう。

果物の種類でも違いはありますが、同じ種類の果物で同じ農園の木でも灰のやわらかさはそれぞれ異なり、非常に繊細な世界です。

また、材料が決まった後には、分量調整があります。
原料の特徴を活かしつつ、適切な灰の割合を調整していきます。

風合いを出そうと灰の分量を多くしすぎても、しっかりと灰が溶け切りません。
逆に少なすぎても、今度は灰が溶けすぎてしまい、うつわの質感がなくなってしまいます。

このような努力があって、独自の釉薬がつくられていきます。
釉薬のお話を伺ってから、1枚のうつわができるまでの過程を見学させていただきました。

初めに、ろくろを用いて土を上下になじませていきます。
こうすることにより、土のくせをとっていきます。

土のくせがとれたら、細長くなった土を上からつぶして、うつわのかたちに整えていきます。

ふちをつけたら、かたちは完成です。
大山さんの鮮やかな手さばきはこちら。

みるみるうちに、土がうつわの形に収まっていきます。
うつわのかたちづくりは、これで完成です。

次に釉薬掛けの工程を見せていただきました。

釉薬の濃度を調整していきます。
比重計を使ったり、手でふれた質感を確かめたりしながら、慎重に。

新しい釉薬は特にこの調整が大変です。
釉薬をふるいにかけ、灰の粒子の大きさも整えていきます。

特に、柿灰のうつわといった質感を全面に出したいものはあらい目のふるいにします。

うつわをはさみでつかみ、釉薬に浸します。
このとき垂れた釉薬もそのままにすることで、豊かな風合いになります。

釉薬をかけた後は、このような感じになります。
それから、こちらを乾燥させて焼くと完成です!

青人窯のうつわは、これほどの工程から繊細な手仕事でつくられています。
このようなうつわづくりの他に、新潟県阿賀町三川にある伝統的な穴窯での制作にも挑戦されているそう。

薪を使って焼くことで、そこからできた灰が溶けて釉薬となり、独特の焼き物に。
将来的には、より質感が出せる和食器に挑戦していきたいとのこと。

うつわについて語る大山さんの顔には、マスク越しからでもわかる程の笑顔で輝いていました。

豊栄駅から春のお散歩

青人窯から新潟駅に戻り、電車に20分ほど揺られ、豊栄駅へ。
菜の花畑で有名な福島潟へ、40分ほど春のお散歩をしながら向かいます。

福島潟では、湖に小さな島々が浮かんでいる景色を見ることができます。
菜の花とのコントラストはより一層美しく、多くの人が訪れるそう。

歩いていくうちに、さまざまな春の花々を見つけました。

小さな桜並木と赤い椿も発見。

遊歩道にも桜がたくさん咲いています。
この日は晴れていたので、まだ雪が残る山々もはっきりと見えました。

この遊水館という看板を左に曲がります。
ちらりと見えていますが、看板の奥には数多くの桜が咲き誇る広場がありました。
こんなに密集した桜が見られるなんて………!

大きな橋を渡り、少し歩くと福島潟に到着です!

一面の菜の花が広がる福島潟

茅葺屋根が見えてきます。

ここは潟来亭(かたらいてい)という、昔の民家を再現した無料休憩所。

名前の通り、縁側で人々が語らう姿にほっこりしました。

管理人の方から、昔の福島潟のお話を伺うこともできます。

奥に進むと、一面の菜の花と雪山に目を奪われます。

頑張って歩いてきてよかったです!

奥に桜も見えました!菜の花と潟と山々と桜のフルコースを堪能しました。

どんどん奥に進んでいきます。
水辺が多くなり、潟の雰囲気が出てきました。

白鷺を発見!
さまざまな鳥のさえずりも聞こえてきます。

福島潟には220種類以上の鳥が生息しているとか。

そのまま進んでいくと、雁晴れ舎(がんばれしゃ)という野鳥観察施設にたどり着きました。

環境省が設置した施設で、屋上から潟の景色を眺めることができるとのこと。
中には、福島潟の野鳥を観察できる望遠鏡もありました。

階段を登って屋上へ。
潟全体を見渡せて、気分爽快!

風も吹いてきて、心地よかったです。

新潟の灰からできたうつわの魅力を感じ、存分に春を味わいながら心がほどけていった1日でした。

今回ご紹介した、青人窯さんのうつわはこちらからご覧いただけます。

青人窯さん 一覧ページ

お気に入りのうつわを見つけて、日常のテーブルシーンをもっと楽しめますように。

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