はじめての金継ぎレポート。割れたちゃったうつわは直して使いたい

こんにちは!おうちで楽しむ陶器市 うちる編集局のツチヤです。

先日お気に入りのカトラリーレストを割ってしまいました。いつもはガシャンという嫌な音と共に「やってしまった」と後悔して数十秒前に時間を戻したくなります。

でもこのときはちょっとだけ違っていて、後悔よりもわくわくした気持ちが勝っていました。

その理由は『金継ぎ』です。ずっとやってみたかった金継ぎの素材ができたと、正直少し気持ちが踊りました。

今日はお気に入りのうつわを長く使う方法のひとつ、金継ぎについてや実際にやってみた感想をお伝えします。

金継ぎとは

『金継ぎ』は、割れたり欠けたりヒビが入ってしまったりしたうつわを漆で接着して金などの粉で装飾する修復技法です。

日本では古くから使われている技法で、茶道が普及した室町時代以降は芸術的な価値が見いだされたと言われています。近年は伝統工芸品やハンドクラフトの関心が高まっていることもあり、国内のみならず海外からも注目を集めています。

また、お気に入りのうつわを長く使えるようになるのもうれしいポイントです。

本来、金継ぎで割れた破片をくっつけたり欠けを修復したりするときにも漆を使います。しかし、漆を使って破片を接着するには場合によっては数週間もの時間がかかるのだそう。

そこで最近は漆を加工した接着剤や接着パテを使って比較的手軽に金継ぎができるキットやワークショップも広まっています。金継ぎが初めてのわたしも、まずはキットを使って金継ぎに挑戦しました。

はじめての金継ぎ 準備編

初めて一人で金継ぎをするのは不安だったので、陶器を使ったアクセサリーを中心としたライフスタイルブランド『ayako.ceramics』さんに教えてもらうことにしました。(オンラインでやりとりできるzoomにて実施。)

「完璧に直そうとは思わずに、おおらかな気持ちで楽しんでくださいね」と言ってもらえたことで初めてでも安心して参加することができました。

なお、今回はayako.ceramicsさんの専用キットで金継ぎに挑戦しています。昨今は金継ぎをするにあたって様々な手法があり、使うキットや教えてくれる人によって道具や詳細な手順は異なるので記載の手順はあくまでも参考までにご覧ください。

使用する材料と道具はこちら。

・机を覆うくらいの大きな紙
・エポキシ接着剤
・とのこ
・接着剤を混ぜる厚紙
・竹串
・マスキングテープ
・デザインナイフ
・耐水ペーパー
・ゴム手袋
・面相筆(長い方の筆)
・プラスチックカード
・漆
・テレピン油
・金属粉(純金の粉や真鍮粉)
・真綿
・あしらい毛棒(短い方の筆)

そのほか用意しておいたほうがいいものもあります。
・ティッシュ
・サラダ油
・水

接着剤や漆、テレピン油などはにおいが強いので、よく換気をしながら行ったほうがよかったです。

また、漆は肌につくと痒くなってしまうので長袖を着て肌を守るといいとのこと。もし肌についてしまったらサラダ油を塗ってから石鹸で洗えば痒くなりにくいそうです。(痒みがひどかったり5日ほどしても痒みがおさまらないときなどは皮膚科にご相談ください。)

はじめての金継ぎ 割れの修復編

割れの修復

今回わたしが割ってしまったのは、こちらのカトラリーレスト。ぱっくりふたつに分かれてしまったのですが、細かく割れていないので比較的修復がしやすいとのことでした。

割れを修復する金継ぎの手順は、漆を塗るまでに大きく5つあります。
1.組み立てる順に並べてくっつける順番をイメージする
2.マスキングテープ切っておく(10枚くらいあると安心)
3.厚紙にエポキシ接着剤を出し、竹串で混ぜる
4.接着剤をすべての割れ面に薄く塗布する。
 このときマスキングテープで補助しながら組み立てると良い。
5.すべてに塗れたらすぐに組み立てていく。(ぎゅっと力を込めて接着剤がムニュっとはみ出るように)

接着剤は多めに作っておいたほうが安心とのことです。一度作った接着剤はどんどん固まっていくので、途中で継ぎ足すことが難しいからです。

接着剤は後から削るのでぎゅっとくっつけたときにはみ出るくらいつけたほうがいいとのこと。ただし、コップの内側など削り取るのが難しそうな箇所ははみ出さないくらいを目安にしたほうが作業しやすいです。

漆を塗る場所を調整する

くっつけてから20分ほど、接着剤が固まってきたところで(完全に固まってしまう前に)はみ出た接着剤を削っていきます。

カッターで削ったあとの凸凹は水にさらした耐水ペーパーで微調整します。

すべての工程を終えた後に気づいたのですが、ここでいかにきれいに接着剤を取り除くかがこの後の美しさに関わってきます。はみ出た接着剤にも金属粉がついてしまうので、ていねいに取り除くことを強くおすすめします。

また、わたしは勢いに任せて接着剤を取ってしまったので、破片の断面に必要だった接着剤も取り除いてしまいました。

このあと漆を塗っていきますが、漆自体にうつわを接着する力はないと思っていいとのこと。なので、ここでしっかり接着をさせておくことも強くおすすめします。

漆を塗って装飾していく

装飾の手順は大きく6つです。

1.手袋をしてパレットに漆を出す
2.テレピン油を少し加える
3.面相筆(長い方の筆)で混ぜ、細くなぞる
4.短い筆を使い金属粉をふりかける
5.真綿で金属粉を払い落とす
6.湿度70%くらいの場所で24時間置いておく

漆を塗るとき、筆に含ませる漆はほんの少しでいいとのこと。筆で描いた漆の線に金属粉をまぶしていくのは、砂絵をやっている感じでした。

漆は湿度で固まっていくのだそうです。入った後のお風呂に置いておくといいと教えてもらいました。

金属粉をふりかけてから24時間経てば、完成です。食器用洗剤で洗ってから、使っていきます。

金継ぎに挑戦してみて思ったこと

金継ぎをやりたいなと思っていたときは、とても高度な技術が必要だと思い込み勝手に難しいものだと思っていました。実際にやってみると思ったよりもかんたんに感じました。

割ってしまったうつわをまた使うことができるのはうれしいし、お気に入りだったうつわにオリジナリティが加わって、さらに愛着を感じています。

金継ぎの方法を知っているとうつわと長いお付き合いができると思いました。

また、今回は割れたうつわを修復しましたが欠けやヒビも同じくらいの難易度で修復できるのだそう。

うつわを割ってしまったときに新しいうつわを探して買い足す楽しみもありますが、お気に入りのうつわは修復しながら大事に使っていきたいです。

※金継ぎを施したうつわは基本的に電子レンジの使用はできません。また、食洗機の使用もおすすめはできないとのことです。

おわりに

金継ぎをやってみたことで、お気に入りのうつわを大事に使おうと一層感じました。

『おうちで楽しむ陶器市 うちる』では、和食器を中心に食卓にまつわるアイテムを取り扱っています。

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最後までご覧いただきありがとうございました。みなさまが長く使いたくなるお気に入りのうつわと出会えますように!

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