うちる編集局スタッフが、全国の窯元さんや作家さんを訪ねる旅行記。
今回は、波佐見焼で有名なやきものの町、波佐見町を旅しました。
波佐見町は長崎県のちょうど真ん中に位置する人口1万5000人ほどの小さな町です。
波佐見焼は近年人気のやきもの。丈夫で、かつ比較的リーズナブルに手に入れられ、オシャレなデザインがたくさんあります。
陶器祭りとは違った普段の波佐見をゆったりと楽しむ1人旅に出ました。
みなさんがこの記事を読んでちょっとでも旅気分になれたら嬉しいです。
目次
波佐見町へ
朝9時に波佐見町について、18時くらいに波佐見町を出発するプランで出発!
旅プラン | |
9:00 | くわらん館で絵付け体験 |
11:30 | 中尾山の登り窯展望台 |
12:00 | 鬼木の棚田 |
12:30 | 西の原エリアでランチ&散策 |
14:00 | ギャラリー巡り O-YANE・WAZAN・Aiyu |
16:30 | カフェでひと休み |
17:30 | 湯治楼、ピザをテイクアウト |
19:00 | 帰宅 |
移動は車を利用しました。
● 車で行く場合
福岡からの場合 西九州自動車道の有田波佐見ICを降りて5分。
長崎空港からの場合 長崎自動車道を通って嬉野ICから15分。
● 電車の場合
福岡からの場合
JR特急みどり・ハウステンボス号でJR有田駅まで
JR有田駅からタクシーで10分
※レンタサイクルや周遊タクシー、乗り合いタクシーもあります。
くらわん館
まずは、波佐見焼についてお勉強。
「くらわん館(観光交流センター)」からスタートです。
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波佐見焼の400年の歴史や波佐見焼の特徴、作られ方などが分かりやすく展示されています。
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時代別に展示されているので、その時代の特徴もわかります。
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1階は物産館です。
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波佐見では一番の取扱をしているとのことです。
スタッフの方は「なんでも聞いてくださいね」と親切に対応してくださいました。
絵付け体験
ここで、絵付け体験をしました(要予約)。
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呉須と呼ばれる染料で絵付けをします。
梅雨の時期に行ったので、雨をイメージして水玉模様にしてみました。
筆で丸を描くの意外と難しい……。
※他にもろくろ回しなどもあります。1週間前の予約が必要です。
ちなみに一階の観光センターでオススメの観光コースを案内してもらえます。
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後日、絵付けしたうつわが届きました!
「どんな仕上がりになるのだろう」と、届くまでの数週間とてもわくわくしました。
じぶんで作ると、より愛着がわきますね。
隣のやきもの公園へ
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「世界の窯広場」には、古代から近世にかけての世界を代表する珍しい窯が12基再現されています。
中尾山の登り窯展望台へ
次は、窯元がたくさん並ぶ中尾山に行きます。
中尾山交流館につきました。
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ここでは、中尾山の窯元の作品が数多く販売しています。
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ここでしか扱っていない窯元の商品もあり、お気に入りの窯元の作品を3カ月おきに買い付けに来られる方もいるそう。
素敵な作品が並んでいます。
次に世界最大級の登り窯「中尾上登り窯」を見に、展望台へ移動。
交流館から車で1分のところにあります。
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遠くに見える段々畑のようなものがその登り窯です。
鬼木の棚田
次は、鬼木の棚田へ。
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ここは日本「棚田百選」にも選ばれている場所です。
日本の原風景に、心が洗われますね。
直売所もあるので寄ってみました。
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あ、外で作業されている農家さんかな。
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梅干しが天日干しされてますね。
こんにちは……。
返事がないな……。
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って、案山子だった!そうでした、ここは案山子祭りでも有名なのでした。
おいしい空気を吸ったら、なんだかおなかが空いてきました。
西の原エリア
棚田から一気にオシャレスポット「西の原エリア」にジャンプします。
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西の原エリアは、江戸時代から続く製陶所をリノベーションした商業複合施設です。
雑貨屋、カフェ、クライミング施設などが立ち並ぶ、今もっとも話題のオシャレスポット。
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カフェのモンネ・ルギ・ムックへ。
ココナッツミルクカレーをいただきます。
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ほどよく辛くて、ココナッツのコクと甘みの絶妙なバランス。
お好みでナンプラーをかけます。一気に東南アジアの味!
ライスはガーリックの香り。パンチが効いていました。
お腹も満たされたので食後の運動に、エリア内を散策。
オーガニックなど、こだわりの食品などを販売している「GROCERY MORISUKE」へ。
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フェアトレードのコーヒーとチョコレートを購入しました。
他にもギャラリーや雑貨屋などがあり、かわいいものがいっぱいありました。
さらに西之原エリアを出て地酒を求め、今里酒店へ。
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今里酒造は江戸後期(1772年創業)からある老舗の酒蔵。
看板商品は日本酒の「六十餘洲ろくじゅうよしゅう」です。
六十餘洲は店主おすすめとのことで、こちら買って帰りました。試飲もできるとのことです。
お酒とくれば、酒の肴。
お酒のあてになるものを探しに直売所「どろんこの里」へ。
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波佐見産のキュウリ、アスパラガス、手作りのゆずみそ、彼杵町産のくじらの湯引きを買いました。
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うふふ。にやけが止まりません。
ギャラリー巡り
さあ、いよいよ波佐見焼をもとめにギャラリーを巡ります。
まずは、西海陶器のOYANEへ。
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ここには1階に作家の作品、下の階にはアウトレット商品が所狭しと並んでいます。
スタッフの方がとても丁寧に作品の説明をしてくださいました。
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併設されているCOYANEはベトナム料理のレストラン。
西之原が混んでいた時はここにきてもよさそう。
次はOYANEの向かい側にあるWAZAN OUTLET SHOPへ。
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こちらも低価格の波佐見焼きがずらりと並んでいます。
掘り出し物も見つかりそうです。
aiyu(アイユー)のギャラリーへ。
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aiyu(㈲アイユー)は昭和60年創業の波佐見焼の商社です。
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創業当初(明治30年)は窯元で昭和60年から問屋業を専門にしています。
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広々とした空間にかわいい色合いのうつわが並んでいます。
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ここはもともと絵付け場だったそうです。
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こちらは、「重宝皿」というお皿。
箸置きになるようなくぼみや、汁気があるものも貯められるような仕掛けが施されています。箸置きにもなるし、醤油皿や、ちょっとしたお菓子を載せたりと、色々使えますね。
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新作は色合いがスモーキーでマットな色合い。
これは活躍しそうです。
ピンクの重宝皿ロングを購入しました。
birdシリーズは、波佐見町出身の陶磁器デザイナー石原亮太氏の手彫りモチーフ。
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型にレリーフ掘りを仕込んであり、デザインが浮き上がっています。
他にもオリジナル商品が色々。
どれも使いやすそうで、軽くて、迷います。
他にもお猪口や丼ぶりなどを購入しました。このお猪口で早く地酒が飲みたいな……。
インタビュー
2代目の小柳勇司さんに色々伺ってきました。
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‥‥波佐見焼の特徴はどんなところですか?
「普段の、日用使いに特化したやきものというところですね。」
‥‥波佐見焼は分業制で作られているんですよね。
「波佐見や有田、三川内などの肥前地区といわれている地域のやきものは分業制をとっています。
生地屋、型屋、窯元、問屋など、もっと詳しく分けられるのですが、この分業制をとることで、よりこだわったやきものを作ることができます。」
‥‥分業化したことで量産化ができるんですよね。
「量産化すると聞くと、機械化を思い浮かべると思うんですけど、(機械化は)ありはするけど、波佐見焼は人の手仕事が残っているところが多いんですよね。
そこに興味持つ方も多いと思うし、(波佐見焼を)選ぶ人も魅力を感じているところがあると思います。
手仕事のところがあるのに、値段がそんなに高くない。波佐見焼の価値はそこにあると思います。」
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‥‥アイユーではどんな商品を取り扱っていますか?
「窯元さんの商品を卸して販売していますが、それだけですと同業他社との差別化がないと思っています。
うちでは窯元や生地屋、型屋と協力してオリジナル商品を開発しています。
例えば、もともと窯元では黄色の釉薬で作っていたものを、赤に変えてここだけで販売したり、オリジナルの形の案を出して、型屋に持っていき、そこから窯元に作ってもらったりしています。
窯元ごとに特徴があり、絵付けや版打ちが得意など、持っている技法や得意としている分野が違います。そういうのをうまく引き出して、他にはない物を販売しています。」
‥‥プロデューサーみたいな感じですね。
「商社といえども多岐には渡っていますね。
ものはつくらないけど、どういうふうに動かすか、どれくらい売るかを考えて販売しています。」
‥‥今力を入れている商品はどれですか?
「全面的に推している、というものはありませんが、今あるシリーズの中身を色々改良しています。色を変えてみたり、アイテムを増やしたりしています。」
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「ユニバーサルデザインを意識した「eシリーズ」の、さらに解釈を広げた「motte」シリーズは子供からお年寄りまでより使いやすいように意識したものです。
また看板商品である「ORIME」は、私自身がアパレルで働いていた経験から、布地の「織り目」を表現できないかと開発したものです。」
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「窯元さんの面白い技法があったのでそこから生まれました。」
‥‥GWの陶器祭りは二年連続で延期になりましたね。アイユーさんではどのような対応をされましたか?
「予約制のイベントを開催しました。
メイン会場がない中で、どれくらいのお客さんがくるか未知数でしたが、29日の初日は予約がいっぱいで連休中もお客様に来ていただきました。
1時間8組まで、15分換気、というサイクルでギャラリーに来ていただきました。
短い方でも30分、長い方は1時間じっくり商品を見てくださるかたがいらして、「安心して、ゆっくり見られてよかった」と感想もいただきました。」
‥‥たしかに人混みが苦手な人にとってこういうスタイルは嬉しいですね。
「陶器祭りのせわしい会場よりは、こういうスタイルもいいのかなと。
リアルで追求していけば、欲しがっている人はいると感じました。
(イベントと)併用が非常に今後大事なのかなと。」
‥‥波佐見焼に携わって魅力を感じるところはどんなところですか?
「自分たちと同じくらの世代が楽しんで使ってもらっているという自負があります。 そういうのを見ているとこちらとしても楽しくなるしやりがいを感じています。
使っているお客さんから「こういうのが欲しい」「ここがこうなったら」というのがあったら、提案できたらいいなと思っています。」
作り手の現場へ
次に小柳さんの紹介で特別に「生地屋」(福田稔さん)の見学をさせていただきました(一般見学はできません)。
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ここでは、圧力鋳込みという手法で型を取っています。
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石膏型の中に圧力で陶土を流し込みます。
鋳型は石膏が使われていて、石膏が土の水分を吸い取ってくれます。
20分ほどで土が乾き鋳型から丁寧に外されます。
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型から外した後、ふちなどにバリが出ている部分をスポンジで優しくならします。
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このような手作業が残っているのが、波佐見焼の味わいに出ているのだなと感じました。
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型もいろんな形があり、大きくなればなるほど作業やスペースを取るため金額が上がるそうです。
また小さなものでも手の込んだものは単価が上がります。
作業が済んだうつわは、窯元に戻って素焼きの作業へ。
その後、下絵→釉かけ→本焼成→上絵付→上焼成→検品などの過程を経て商社へ出荷されます。
分業によって一つのうつわでも、たくさんの人の手仕事で仕上がっていくのを感じました。
カフェ「COFFE MUSUME」へ
やきものの現場を後にし、2月にオープンしたばかりの「COFFE MUSUME」へ。
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お好みの豆を選んでコーヒータイム。
額縁のケーキが入ったような、かわいらしいうつわでケーキもをいただだきました。
温泉
最後に湯治楼(ゆうじろう)へ。
温泉に入って旅の疲れを癒やします。
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波佐見温泉は、高濃度炭酸泉でとろみのある温泉。
3つの内風呂があり、全て源泉かけ流しです。
お肌がツルツルに。
まるで波佐見焼みたい……とまではいいませんよ。ええ、いいません。
最後に清旬の郷、DA TOMMYでピザをテイクアウト。
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帰宅
自宅に帰り、購入したアイユーの重宝皿に直売所で買った野菜やくじらをのせてみました。
お皿が新しくなると、料理も楽しいですね。
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そして波佐見焼のお猪口で地酒に舌鼓。
至福。
心もお腹もすべて満たされた一日でした。
素敵な旅でした
波佐見町は一日では回りつくせないくらい、素敵な場所が沢山ありました。
ギャラリーも色々あって、波佐見焼と一言で言っても様々な作風があり、とても奥深いものだと感じました。
また訪れたい。
素敵な人、素敵なうつわ、素敵な景色に出会う旅をまたしたいなと感じました。
インタビューで紹介のあったORIMEのうつわは、こちらからご覧いただけます。
また、その他波佐見焼のうつわはこちらからご覧いただけます。
お気に入りのうつわで、毎日の食卓を楽しめますように。